アスペクトとは、ホロスコープ上で天体同士が作り出す特定の中心角度のことです。アスペクトによって、各天体の「影響の出方」に違いが出てきます。
実は天体がそのサインにあるというだけでは、目立った変化や動きは起きません。その天体が他の天体とアスペクトをとることで「方向性をもった行動」として表われるのです。
たとえば「携帯に文字を打ち込んでメールする」行為は水星の領域です。「愛情を表現する」のは金星の領域です。金星が水星とアスペクトすることで、愛情(金星)をメール(水星)で表現するという行動が表われるのです。
ホロスコープ上にはたくさんの直線で天体同士が結ばれていると思います。それは結ばれた天体同士がアスペクトをしているという意味です。
1つの天体でもいろいろなアスペクトをとっている場合が多いので、1つのアスペクトの内容は必ずしもストレートには現れません。
例えば、ある天体に土星とのアスペクトがあったとしても、より遠い天体(天王星・海王星・冥王星)とのアスペクトも同時に成立していた場合、土星とのアスペクトの影響は小さくなります。より遠い天体(より公転周期の長い天体)とのアスペクトの方が強力に作用します。
また、アスペクトの許容度数(オーブ)が正確なほど影響は大きくなります。言い換えれば、正確なアスペクトは強制的であり、緩いアスペクトには選択の余地があります。
ここではオーブを太陽(月)絡み±8度、その他の天体同士±6度とします(セクスタイルは太陽(月)絡みは±6度、その他±4度/インコンジャンクトはすべて±3度)。
アスペクトはイージーなものとハードなものに類別されます。
●イージーアスペクト・・・両者の連携が滞りなく楽に行われる一方で、無意識にはたらく傾向があり、安易な方向へ流れやすいアスペクト
●ハードアスペクト・・・両者の間に困難さが生じやすい一方で、必然的にそこへ意識して取り組むことになり、その困難を克服したときには成果も大きいアスペクト
イージー・ハードともにメジャーアスペクト・マイナーアスペクトがあります。以下で紹介するメジャーアスペクトのうち、インコンジャンクトは本来マイナーアスペクトでしたが、1980年代頃から重要視され、メジャーアスペクトの扱いを受けています。
コンジャンクション(合(ごう))→0度 《ケースによりハードにもイージーにもなるアスペクト》
天体と天体が同じ位置に重なること。
二つの天体の意味する物事において、混同が生じやすくなります。
ただ、二つの作用が合体して互いに強め合うので、強いパワーが発生します。一つの天体にもう一つの天体のエネルギーがダイレクトに流れ込むことで、そこではいつも新しい活動性が起こっています。
たいてい合は強い衝動を表すと同時に、かなり無意識で衝動的な面を強調します。例えば太陽と月が合の場合、公的な立場(太陽)と私生活(月)は混同されやすくなり、私生活を公にさらけ出したり、職場で寝泊まりしたりするような形で現れます。
オポジション→180度 《ハードアスペクト》
反対側に互いの天体が位置していること。
一方は個人的な、他方は対外的な場所にあるため、個人で考えたことを対外的に主張したり、対外的に決定されたことが個人の活動に干渉したり、という個人と外界の交流を意味します。
良い面では、心に思ったことを外に対して働きかける積極性として現れます。悪い面では、外の影響が個人に強くはたらくときには、いつも行動や考え方にブレーキがかかります。周囲を意識しすぎて緊張する、何もできなくなるなどはオポジションの作用です。
トライン→120度 《イージーアスペクト》
二つの天体が120度の角度にあること。
オポジションの正面衝突は緊迫した雰囲気を作り出しますが、円を3分割したこのアスペクトはリズミカルな発展性をもち、衝突はおきません。発展と幸運の座相といわれるイージーアスペクトです。
火と火、地と地など、多く同じ元素になり、この元素が強化されて調和的にはたらきます。元素を共有することが多いので、いまの状況を変えることなく、スムーズに無意識にはたらきます。逆にいうと、後天的な努力では開発できないということで、二つの天体やサインに関する生来の才能を持っているといえます。
スクエア→90度 《ハードアスペクト》
火と水、火と地、風と水、風と地というように、性質がなじまないサインの間で結びつきができるアスペクトです。
それまでの元素としての安心感は損なわれますが、新しい展開が始まります。たとえば、アイデアを考え、それが作品になるとは、精神(火)から作品(地)に力が伝達されることです。執着心が解放されるとは、水から風に力点が移ることを意味します。
このように、スクエアの性質は、なんらかの実現のために、今までのものを犠牲にする、という作用です。実際、こうちゃくした状況を打開する決め手は、スクエアが関わることが多いのです。
また、スクエアのアスペクトをもった天体は、比較的派手な性格を持つようになります。
セクスタイル→60度 《イージーアスペクト》
二つの天体が60度の角度にあること。
円の6分割になります。基本的にサインの元素は火と風、水と地という、互いの働きを助け合う元素の組み合わせとなります。
トラインが三角形△であり、一方的に無意識に発展することに対し、セクスタイル(✡→*)は対向する三角形と組み合わさるため関わる相手を意識し、それに合せて自分の姿勢を変えることで発展していく、という意味が出てきます。
トラインのように自然とそうなるわけではなく、意図的に導いていく必要があります。そういう意味では、道具のように使える有用なアスペクトです。
インコンジャンクト→150度 《ハードアスペクト》
クィンカンクスともいいます。元素(4区分)も様式(3区分)も極性(2区分)も共通しない2つのサインの間で起こります。全く共通するものを持たないため、コンジャンクション(合)に否定の接頭辞をつけた「インコンジャンクト」がこのアスペクトの性質をうまく伝えています。
水と油のように合わないものを結びつけ、片方、あるいは両方の天体に妥協、譲歩、改良、調整を迫る力があります。その結果、もともと合わない2つの天体が、お互いの良い面を取り入れて、新しい働きを持つようになります。
インコンジャンクトの調整は、居心地の悪い方法で行われることが多いでしょう。調整というよりはむしろ調教とか訓練とかいったやり方によって、新たな表現に生まれ変わるのです。180度の両脇に出来上がるため、個人が結婚などや集団に参加する前の準備や、参加したあとの訓練などに関係します。
もし2天体のサインが牡牛座と天秤座、あるいは牡羊座とさそり座の場合は、支配星(副支配星)に共通項を持つため、インコンジャンクトの問題を解決するのは比較的容易になります。