魚座は12サインの最後で、牡羊座から始まる新しいスタートに備えるサインでもあります。
そのため魚座には12サインのすべての経験をいったん無にして、子供のようなピュアな状態に戻ろうという意志が働きます。
大人が抱え込んできた価値観や社会性、道徳観念、習慣、偏見などをすべてクリアにするのです。
しかし、ピュアな人間性は現実の複雑な社会では、混乱に陥ったり矛盾が生じたりする原因ともなり得ます。
魚座・金星の人は同情心にあつく豊かな想像力を持っています。
同情心にあついので、自分の気持ちの上に、他人と自分のはっきりした境界線を引くのが苦手です。
自分の気持ちがハッキリしていないので、人から過剰に思われたり支配されたりしやすくなります。
特に恋愛面でこうした傾向が強く出ます。
危険なタイプの異性にアプローチされて、「嫌いじゃないから」とそのまま流されて付き合ったために、厄介な事態に巻き込まれてしまう。
ただ、本人は困った事態になっても困ったことだと認識していない場合もあり、周囲の心配をよそにノホホンと過ごしていたりします。
不倫などの不道徳といわれる状況に違和感なくハマりやすいのも魚座・金星の特徴です。
また昨日は大好きだった相手が、翌日には大嫌いになったりと、好き嫌いの変化が激しすぎる人もいます。
同情心があついために、相手の苦しさや悲しさが乗り移ってきて自分の精神状態が不安定になるのです。
同情して愚痴に付き合っているうちに、相手を好きになったり相手に誤解されてしまったりすることもあります。
実は魚座・金星の人が相手の夢や野心の手助けをしたがるのは、無意識のうちにパラサイト(寄生)できる相手を探しているからです。精神的に依存し合う関係を作ることで、心の拠り所を確保したいのです。
相手の不幸や不安に寄り添い、二人でそれを分かち合うことができる運命共同体でありたい。そのためには、相手が離れていかないように自分を犠牲にしてまで相手に貢ぐこともあります。
一方でその奉仕の陰には分析癖・批判癖があります。相手を分析・批判し、相手の人生を自分が修正してあげられるという思い込みがあるのです。
それだけでなく、自分への厳しい批判姿勢ももっています。「奉仕という浄化」の名の下に自分を卑下しては横暴な相手にへりくだり、まるで生け贄のように自分を犠牲にする。
また魚座の人は自己陶酔できる大げさなストーリーを作り上げがちです。そして作り上げたイメージに対して完璧であろうとします。そんな役割を完璧に演じられるのは「運命に翻弄される自分」になりきるのが大好きだからです。
自分にしかできない役割が天から与えられていると思い込んで崇高な気分になり、一人で困難を乗り越えようとします。結果が出せないと落胆するものの、途中で相手に口を挟まれことは嫌います。しかし相手からすると、あなたは思い込みに囚われているとしか見えません。
同じ過ちを繰り返す魚座の人が立ち直るには、まず相手への分析と批判をやめることです。「自分の正しいイメージ」を手放すのです。あなたが描くイメージが本当に正しければ、とっくに状況は改善されているはず。
現実から遊離した完璧なイメージや美を求めるのはあなたの持ち味ですが、それよりもっと大切なのは人間らしさです。相手や現実に対して謙虚であるべきなのです。自分の描いたイメージと違っていても、今の状況や相手の様子を嫌がらずに受け止め、一人で抵抗するのでなく、状況の流れやプロセスに身を委ねることです。
またあなたの優しさや献身が相手を苦しめている部分もあるのです。相手だって一緒に状況を打開したいと思っているでしょう。助けたい相手を取り残して一人で突っ走ってしまうようでは、優しさに意味はありません。
魚座には相手の深層心理に潜在する可能性を見つけ引き出す能力があります。絶望を希望に、恐れを信念に変える魔法が備わっているのです。
自己犠牲の妄想から抜け出し、地に足をつけた恋愛関係をはじめたとき、きっと相手を癒すことによって自分も癒されるでしょう。
逆行の魚座・金星の場合は、過去の失恋にとらわれやすいでしょう。報われない愛を芸術に昇華させ、才能を発揮することもあります。
〔魚座・金星の、太陽期(26才~35才)への移行〕
☆太陽が山羊座の人
ボーッと空想の世界に遊ぶ傾向は弱くなり、自分のセンスを生かして世の中で認められたいと考えるようになります。
仕事に対する責任感も出てきて、見違えるでしょう。
ただ社会的な人格をずっと意識しているとストレスが溜まります。
休日は仕事を忘れて趣味に没頭したり、ペットと親しむ時間をもつようにするとバランスがとれます。
☆太陽が水瓶座の人
太陽期に入ると、自分のセンスや柔軟な感受性を、形あるものとして残したくなります。フリーのクリエイターなどとして活躍できれば理想的です。
金星期には逃避願望が強かった人も、太陽期には自分の主張がはっきりして、独自の人生を作り出す勇気が湧いてきます。
才能には恵まれているので、自分の特技は何か真剣に考えてみましょう。
☆太陽が魚座の人
金星も太陽も魚座のため変化はありませんが、同情心がますます強くなるでしょう。
他人に過剰に肩入れしたり、反対に過剰に頼られて、自分の生活まで不安定な状態になる可能性もあります。
不遇をアピールしながら近づいてくる異性や、友達の連帯保証人依頼などに注意が必要です。
困っている人を見ると放っておけない優しい性格なので、その部分を良い方向に生かしたいものです。
☆太陽が牡羊座の人
繊細で同情心に富んだ感受性を育んだ金星期から太陽期に入ると、ある時期に全く新しいサイクルに飛び込んだような感じを受けるはずです。
そのきっかけは失恋だったり異動だったりいろいろですが、考え方に具体性が欠けているように感じたり、生き方の方向性に悩んだりするでしょう。
新しい環境に適応するのが困難に感じられますが、周囲からは違和感なく馴染んで見えるようです。
新しく好きになったことにチャレンジしていくと、道が開けます。
☆太陽が牡牛座の人
金星期から太陽期への移行にそれほどギャップはありません。
金星期には空想の世界に遊んでいた人も、太陽期には自分のセンスを形にして表現してみたくなります。
素直な感覚をモノに表現する才能を生かして、工芸的な趣味を始めたり職人的な仕事に就いたりすると良いでしょう。
プロにならなくとも、日常生活は芸術的で豊かなものになります。