ジュノーの名はローマ神話の結婚を司る女神ユノに由来します(ユノはギリシア神話のヘラに相当します)。
つまり ジュノー≒ユノ≒ヘラ となります。
ユノの最も重要な役割は、結婚女性の後見人でした。ユノは法的結婚の全ての儀式と取り決めを主宰しました。6番目の月(June)はユノ(Juno)に捧げられたもので、現在でも多くの女性は “June brides” として彼女の祝福を求めています。
ユノは女性の生殖周期も支配し、カレンダーの女神として、月経周期を使って秩序ある時間の流れを象徴しています。
概要
ギリシャ神話の内容
関係の象徴としてのジュノー
女性の周期の指標としてのジュノー
ジュノーの直径は約234km、公転周期は4.36年。
占星術でジュノーは、相性や、人間関係における義務、他者に対する受容力、分かち合いや信頼、嫉妬、独占欲、パワーゲームなどの問題に私たちがどのように向き合うかを示します。結婚を司る女神としてジュノーは、天秤座とさそり座に関連します。
古代ギリシアではジュノーは、月の位相や女性サイクルの女神ヘラとして知られ、天の王・ゼウスと結婚し、女性に結婚の儀式を伝授していました。神の配偶者であり結婚の女神であるジュノーは、私たちの有意義な関係を作る能力を表します。
現代人は、時代遅れの人間関係をこなせない無力感として、ジュノーを経験するかもしれません。昨今の高まる離婚率や、同性愛者の増加は、古い関係形態への不満を示しています。ジュノーは、すべての理想が実現されなくても関係を続けるか、意味のなくなった関係に終止符を打つかの選択をするでしょう。
結婚を通して自分の力を失う体験をしたため、ジュノーは弱い個人の象徴でもあります。現代では、虐待された女性や子供、犠牲者の権利、難民の苦境、少数民族、障がい者などのための社会的・政治的改革の中に、ジュノーの影響が表れるかもしれません。
ジュノーが表すパートナーシップは結婚がその典型ですが、相互理解と信頼に基づく、特別な他者との関係であれば、ほとんどがジュノーの範疇です。
ジュノーは、一対一の人間関係を司る天秤座の支配星、金星に似ています。金星の司る人間関係が広範なのに対し、ジュノーの人間関係は結婚、特別な他者との関係に限られると考えられます。
オノ・ヨーコさんのホロスコープには1ハウスにジュノーがありました。オノ・ヨーコさんの存在は、結婚相手のジョン・レノンと同一視されている感があり、ジュノーの結びつきの強さを物語っています。
ジュノーはヘラとしてギリシア人に知られていました。オリュンポス十二神の二人の法的既婚女性の一人で、もう一人はアプロディーテでした。アプロディーテが結婚の誓いを無視していたのに対し、ゼウスの妻であるヘラは彼女の忠誠心と忠実さを尊重していました。
結婚当初ゼウスとヘラは多くの愛と優しさを交歓しましたが、夫婦の結婚の至福は、性的なものを除いては、急速に衰えていきました。その後の二人は絶え間ない緊張と戦いの中で暮らしました。なぜかというと、ゼウスが次々に不倫を重ね、ヘラは夫の浮気に嫉妬し、夫が愛人に産ませた子を迫害し続けたからです。
壮絶な結婚にもかかわらず、ヘラは崇拝されました。ヘラは関係を通して充実を求め続けたという点で理想の妻でした。ゼウスの不倫にもかかわらず彼に忠実に留まる能力は、彼女の最大の贈り物と考えられていました。
ゼウスとヘラの神聖な結婚は、人間の結婚の原型になりました。離れることと戻ることの神話は、彼らの関係の不可欠な部分でした。ギリシア神話は、ヘラの孤独への定期的な退去の必要性を繰り返し強調しています。
ジュノーは、私たちが結婚を求める動機となる感情的・心理的要求を表しています。
ジュノーが特別な他者を指す場合、合法的に結婚するとは限りません。今日では、異性愛者でも同性愛者でも、どんな同居関係でも、ジュノー的な関係になり得ます。
ジュノーはビジネスパートナーや親しい友人、先生と弟子、セラピストとクライアントのような一対一の関係を表すこともあります。
ジュノーは求愛、婚約、結婚、結婚記念日、離婚の儀式を支配しています。トランジットによって、関係の開始時期、危機と離別の時期が示されます。シナストリーでは、相性とカルマの関係の主要な指標になります。
ジュノーの関係の要求が満たされない場合、ホロスコープのジュノーの位置は、関係の要求を否定することから生じる多様なコンプレックスを表します。コンプレックスは、嫉妬、所有欲、不倫、服従、操作、感情的・性的パワーゲーム、裏切り、放棄などを含みます。これらは通常、さそり座に関連しています。
〔不倫〕
関係を損なう嫉妬の原因は、現代の一夫一妻制に基づく性的忠実性の問題です。性的忠実性は、関係を維持するために有用ですが、強制や抑圧によって維持される場合、不公平感や不信感が関係の基礎をむしばみ始めます。
性的忠実性の違反に対する最も一般的な反応は怒りです。この怒りは不誠実なパートナーに向けられるべきですが、共犯者の方がより頻繁に浴びせられます。たとえばジュノーは、ゼウスの愛人とその子供たちに復讐をしました。その結果ジュノーは他の女性への意地悪にのめり込む、疑い深い妻を象徴するようになりました。
つまりジュノーは、性的忠実性の問題と、それを維持するために使用される抑圧と力のパターンを示しています。同時にジュノーは、侮辱されたパートナーが最終的に報復するときに爆発する屈辱、恥、怒り、復讐を表しています。
〔関係の恐怖〕
男女ともにジュノーは、特別な他者を失う恐れと、この恐れから生じる欲深い、所有的な態度の指標です。ヘラの幼年期が父親(クロノス)の胃袋の中で過ごされたように、家父長主義文化の女性は、支援と保護を男性に求めるよう条件づけられています。専ら母親や妻から養育されるように条件づけられた男性も同様です。
またジュノーは、パートナーの実際上か想像上の不誠実さから生じる裏切りの恐怖の指標です。これは実際にパートナーに裏切られる場合と、自己の性的・精神的自由の抑圧された要求をパートナーに投影する場合があります。パートナーが他の誰かと暮らしているという幻想に浸ることによって、恐怖を現実化する可能性があります。
さらにジュノーは、関係の中で性的・感情的交渉の深さから生じる緊張と恐怖の指標であり、その反動として、男性は様々な形の軽薄なセックスを求めます。
ジュノーは女性の発達の全般的な支配星であり、結婚の準備・継続・離別を表しています。
第一段階では女の子は、男性を引きつける方法を学び、良い妻になるようにします。ジュノーは月経のタイマーで、それは性交と、その後の結婚の成熟度を示す経験です。
第二段階では、ジュノーは花嫁、妻、そして夫の目標の感情的な支持者になります。ここでは家族・家庭・コミュニティの保護者として機能します。
最終段階ではジュノーは、喪失や離婚、女性が自分の感覚を取り戻す要求を示しています。彼女が主に夫を介して生きてきた場合、今度は自分のアイデンティティと内なる目的を確立するという課題に直面するでしょう。
結婚は自我の分離をより大きな全体に変える超越の道です。結婚式は別々の自己を第三の本体に溶け込ませる神聖な儀式です。このプロセスは不可逆的です。ジュノーの霊的な才能は、結婚を、全生命に宿る神の愛の結束に入る方法にすることができます。