40歳の誕生日(2017/9/20)に、一年後の2018年の誕生日をもって引退することを発表した安室奈美恵さんのホロスコープを見ていきます。
安室さんの出生時刻は公表されています。
若い女性に絶大な人気を誇った彼女。
人気をあらわす月は、MCとピッタリ合。
この出生時刻が正確だとすれば、MCは射手座になります。
射手座のMC：目の前の現実にとらわれない壮大なビジョンと、冒険心を社会に提示するという使命を持ちます。向上心を促す職種に適性があり、教育やスポーツ関連の仕事に向いているでしょう。(『月の正統 西洋占星術(神谷充彦)』より)
歌手安室奈美恵は等身大の彼女ではありません。
若い頃は小室哲哉さんの楽曲と引き立てのお陰があり、背景には無数の人々にアピールできる芸能界の仕組みがありました。それは個人では到底成し得ないことです。
つまり等身大の安室奈美恵よりも何倍も大きなビジョンを、彼女は社会に提示していました。
それを見て、安室みたいになりたいと若い女性は彼女の真似をしたのですね。
そしてオリンピックやサミットに関連する活動など、MC射手座の役割は存分に発揮されました。
小室哲哉さんの影響は強力でした。
小室さんとの人間関係を表すのは７ハウスの冥王星。
冥王星はカリスマを表します。
支配星の流れを追うと、冥王星は天秤座で、天秤座の支配星 金星は獅子座の６ハウスにあります。
カリスマは彼女が自己表現(獅子座)するための労働環境(６ハウス)に彼女を導いたのです。
金星自体は牡牛座に関連しますので、喉(牡牛座)を使う自己表現と考えてもいいですね。
金星は土星と合なので、プロデュース(監督＝土星)される立場であり、その立場がすでに彼女のゴール(土星)でした。
彼女が歌一筋に25年間やってきた事実にそれは表れています。
７ハウスは結婚相手も表します。
７ハウスのカスプは乙女座で、支配星の流れを追うと水星→乙女座の６ハウス。
乙女座は６ハウスの原型なのでこれは純粋に職場の同僚を表します。
彼女は同じ小室ファミリーのSAMさんと結婚しました。
結婚後も活躍し続けた古今東西の女性スターの多くと同様に、結婚生活は長くは続きませんでした。
労働を表す６ハウスに太陽をはじめ４天体を持つ彼女の生き方は、いってみれば仕事中毒です。
母親が殺される凄惨な事件が起きた時、わずか12日後のテレビ番組で活動再開した事実がそれを物語ります。
その彼女がいま、引退を決断したのはなぜでしょうか。
彼女は今日40歳になったそうです。
一日一年法と呼ばれる進行図では、太陽は１年に１度ずつ進みます。
出生時乙女座の28度にあった太陽は、40歳の誕生日にはさそり座の８度にあります。
この位置はけっこう象徴的です。
進行の太陽は、８ハウスに入っています。
おそらく彼女の心境の変化は８ハウスに入った頃起きたのでしょう。
なぜかというと太陽が、８ハウスの中で、天王星に近づいているから。
８ハウスの天王星：変革的な目的を持った集団に参加し、特殊な訓練を受ける。気質の変容に強い関心を抱き、先祖の遺産を平気で投げ出そうとする。突然の死、突然の破産に見舞われやすい。感情の変動は予測不可能。(『完全マスター 西洋占星術(松村潔)』より引用)
天王星及び８ハウスカスプはさそり座です。
支配星の流れを追うと、さそり座→冥王星→７ハウス。
冥王星は天秤座。天秤座→金星→６ハウス。
金星は獅子座。獅子座→太陽→６ハウス。
太陽は乙女座。乙女座→水星→６ハウス。
水星も乙女座。・・・
つまり８ハウス天王星が意図する突然の停止の発想は、労働のハウスに行き着いたわけです。
そのため、仕事を停止しようとなった。
彼女の進行の太陽は、引退後はしばらく８ハウスを進みます。
８ハウスは結婚の部屋でもあるので、結婚する可能性もあります。
いずれにしても、もう十分働きました。
若い頃アムラーだった人たちは、勢いが衰えていく彼女を見るのはつらいかもしれません。
MC射手座にとっても、それは本意ではありません。
現在40歳の彼女は火星期にあり、火星はそれに続く木星とともに蟹座の４ハウスにあります。今後十数年は自分の環境を大切にする時間です。
いまが良い引き際だと思います。
安室奈美恵さん、お疲れさまでした。
(2018/10/12 ノードのスクエア解説のための追記)
安室さんのノード(ドラゴンヘッド･ドラゴンテイルの総称)とスクエアである天体は火星です。火星とノードの関係には、人生の深い意味が暗示されています。
火星はノード軸に対してスクエアで、この場合火星の省略された段階は、円の中心に向かって左側の、ドラゴンテイルを介して解決されます。
ドラゴンテイルは過去を表し、今世の初期も含まれます。ドラゴンテイルのサイン牡羊座は、プロデューサーを象徴します。彼女の初期のプロデューサーは小室哲哉さんですね。
ノードに対する火星のスクエア：「この配置は、意志が何らかの形で勝手に接収され、あなたが過度に人の言いなりになるか「失われた」状況を示すことがあります。過度の支配が魂の本来の意図を歪めている状況もまたあります。
この配置は、独立性のニーズが満たされていないことを示している可能性があり、抑圧された怒りの原因となります。」
つまり小室哲哉さんは恩人ではあるけれど、プロデュースされるというアイデンティティ(1ハウス)は、彼女の心(4ハウス)にとって本意ではなかった、と推測されます。なぜそう思ったかというと、『安室奈美恵「告白」』というNHKの番組で、小室さんのプロデュースを離れた時のことを開放的に語っていたから。自己プロデュースという言葉を使って楽しそうに回顧していました。
小室さんを離れたきっかけは、安室奈美恵実母殺害事件だと思います。お母さんの再婚相手の弟、安室さんから見て叔父に殺されるという凄惨な事件。
ホロスコープで親戚は双子座･3ハウス･水星が象徴します。彼女の家庭をあらわす4ハウスのカスプは双子座。中に入ると蟹座になり、火星があります。火星は事件を表し、蟹座は母親を表し、双子座は親戚を表します。つまり、親戚(双子座)によって母親(蟹座)が絡む事件(火星)を起こされる家庭(4ハウス)、と読めます。
このような極端な事件が起こるのは、火星の蟹座を支配する月(母の象徴でもある)が最終度数(涙の度数)だからなのですが、引き金は、ドラゴンテイルと火星のスクエアでしょう。安室さんの心(4ハウス)の不満(火星)は、ドラゴンテイルの支配星がこれまた火星であるため、つねに渦巻いていた。やり場のない不満が現実世界に投影されたときあの事件が起きた、と考えられます。
上の解読では、事件後すぐに仕事に復帰したのは、6ハウスに天体が多く仕事中毒だから、と書いていますが、深い動機として、独立した自分への欲求という原動力があったと思います。それは母親の遺志でもあることを、彼女は受け取ったのでしょう。
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