たまたまX JAPAN のToshlさんの本に興味をもち、読んでみました。
これがもの凄い内容で、ただただビックリしました。現実にこんなことがあるのだろうか。
大まかな内容をいうと、X JAPANのボーカルとして栄華を極めたToshlさんが、妻との結婚とそれに伴うカルト集団への入信によって搾取されていく12年間の様子が回顧されています。
「洗脳」という言葉にはとらえどころのないイメージがありますが、彼のホロスコープをみるとリアルに現象化された様子がわかりました。
今回も、出生時刻を予想したホロスコープです。
ただ、ここしかないだろうという予想になりました。
生年月日と出生地が特定されると、星の配置は定まります。そこから出生時刻を予想してハウスを動かしているときに、すべてが適切に解明される一点に突き当たるはずです。逆にいうと、そこ以外ではすべてが現実と矛盾することになります。
予想にあたって留意した点は、洗脳につながるキャラクター要素がたくさん織り込まれている、というものでした。
すなわち、これだけ徹底的に搾取されるには、よほどのハウスが揃わないとあり得ないだろうと考えたのです。
今回はアスペクトもやや影響しているかな、と感じました。
第5ハウスの土星がわずかに不可解でしたが、それ以外の9つの星はToshlさんの洗脳体験を十分に説明しうるものでした。
この中で、直接洗脳とは関係ないものの、彼の地獄的な日々を決定づけたであろう星があります。
第6ハウスの月:まめに働くことで安心感を得る。まるで職場に住むかのような生き方をする人もいる。しかしやはり第6ハウスは苦痛なので、職能的に要求される仕事をこなすことで、自分の中の幼い心や感情が脅かされ、神経ストレスや感情の圧迫が出やすい。 怠惰な生活には耐えきれないので、ずっと仕事を続けるか、何か取り組むテーマがあるとよい。
人生には選択肢があるようにみえます。
奴隷のように働く人生と、奴隷のようには働かない人生です。
しかし、本を読んだときに感じた疑問―なぜそこまで働くのか、彼らに金を捧げ続けるのか、その一端がこの星によって解明されます。
Toshlさんにこの選択肢は閉ざされていたのです。
直接的に洗脳の原因となったと思われる星は、
第1ハウス海王星
第11ハウス冥王星
第8ハウス木星
あたりでしょうか。
第1ハウス海王星:人生を支配するのは無意識の直観になる。はっきり一本化できないアイデンティティーを持つ。人類の集合的欲求を感知しやすく、これに従うとよい業績をなすこともある。活力が枯渇したとき、他者の意志に支配される。
第11ハウス冥王星:人と思想的な結びつきを持つ。明確な未来像があり、それに向かって無理なことでも努力できる。社会的には運命の変転が大きい。政治団体、イデオロギーの明確な団体に所属する。冥王星が無意識に扱われる場合には、友人から深刻な迷惑を受けたり、団体から追い出されたりする。
第8ハウス木星:他人の感情を逆なですることなく場を盛り上げることのできる独特な才腕がある。人の感情に対して従順であるということが、融資を受けやすい資質にも結びつく。豊富な情念と情熱を持つ。
これらを見たとき、私は妻とカルト集団のリーダーが占星術に詳しく、このホロスコープの弱みを握って操作していたのではないか、とさえ思いました。
そのぐらい、洗脳する側にとっては都合のよいホロスコープです。
洗脳といっても、具体的には罵倒と暴力です。客観的にみると、「これはおかしいだろ」と感じます。
でも第1ハウス海王星を持っている人には、毎日攻撃を受けているうちに、彼らの操り人形のようになってしまう可能性が潜んでいるのかもしれません。
Toshlさんがなぜそこまで金を貢いだのか、それを解き明かすためのカギになる星が、第2ハウスの火星です。その他彼の人生を彩ることになった星もあわせてみていきましょう。
第2ハウス火星:すぐ手に入れて、すぐに使いたがる金銭感覚を持つ。 金銭の取り扱いはおおざっぱで無駄が多い。金銭管理には向かない。しかし、やる気さえあれば収入はすぐに増加する。つまり意欲と経済は連動している。激しい本能的な力が蓄積されていて、そこから離れることが大変に難しい。リスクの高い投資をする。
第1ハウスの金星:愛情が豊かで、人を傷つけない言動をする。過酷な環境に耐えきれず、気楽さを求める性質が強い。情に流されやすい。 芸能的適性がある。美貌に恵まれる。容貌には自信がなくても、絵になるキャラクターが魅力。自分の助けになる人を見つけ出すのが早い。人を傷つけたくない気持ちから、決断力が鈍る。
第11ハウス天王星:個性的で、反社会的な友人が多い。 気質の根底に反動的な資質がある。 秩序に従わない怪しい友人を持つ場合も。 理想実現のためには、個人生活を犠牲にする。 過激なサークルに参加する。
第12ハウス水星:メディアのなかで広く発言する権利を獲得しやすい。一人でコツコツと文章を書くと才能を発揮できるが、公の場で弁舌を働かせるのは不得意。
第12ハウス太陽:心の中にある男性原理が神話化されていて、それは実在する父の影響が少なかったことも関係する。目前にある現実よりも、人類共有の集合的な精神に働きかけたいという意志が働く。
ホロスコープをみるときは、総合的に見ることが大切です。
一つ一つの説明を見ていると、細かい部分では一致しない場合も、総合的に考えるとひとりの人間のなかで統合されることがあります。
第2ハウスの火星のところにリスクの高い投資をするとありますが、金を貢ぐという行為も、彼の人生の文脈においては投資に近いものだったのかもしれません。洗脳されていたときは「搾取されている」という意識がないのですから。
第1ハウスの金星は気楽さを求める性質ですが、妻に安易に金を渡す行為は気楽さを求める行為ともとれます。妻に金を渡しさえすれば瞬間的であれホッとします。蟻地獄のような状況が12年間も続いたのは、「気楽さを求める」気質が寄与したともいえそうです。
さて、ToshlさんはYOSHIKIさんと同郷で幼稚園からの幼なじみだそうです。
彼らが生まれ育った千葉県館山市。房総半島の突端にあり、やや交通の不便な場所でもあります。
千葉県の県庁所在地である千葉市までは現在でも電車で2時間弱かかります。
Toshlさんのお父さんは裁判所に勤務していたそうです。彼が小学校の時、お父さんが千葉市に単身赴任となり、高校生になる頃まで離ればなれで生活したそうです。
その後母親や長兄とのいざこざからストレスをため込み、救いを求めるようなかたちで妻やカルト集団に近づいた、という経緯がありました。
洗脳生活の中では家族とは疎遠になっていたのでしょう。父親の死さえ知らされず、それを知ったのはだいぶ後のことだったそうです。
彼が洗脳から脱出するきっかけとなった人が最後のほうに描かれています。
Toshlさんの支援者の知人の「お父様」、Toshlさんを一定期間妻やカルト集団からかくまってくれた恩人です。
”そして、借りた茶色のコートの袖に腕を通した。そのとき、その袖から懐かしい父の匂いがした気がした。何年も会う事が出来ず、永遠の別れとなった父を、突然思い出し涙が出そうになった。”
これだけ過酷な人生も、Toshlさんのお父さんはやさしく見守っていたのかな、という気持ちになるいいシーンでした。
いままでハウスを見てきました。
これだけでも充分言い当てているのですが、あれほど過酷な現象があらわれるには、さらに別の要素が絡んでいるような気もします。
そこでアスペクトをみてみると、太陽と月にメジャーアスペクト(丸囲み)が少ないことがわかりました。特に太陽はほぼノーアスペクトといえます(太陽・月関連のオーブは8°とみるのが一般的)。
アスペクトのない太陽:占星術で使われる太陽は、本来地球のことで、向日性を持ち、太陽に向かって希望を広げていく作用だと説明しましたが、これにアスペクトがないということは、行動の目的やテーマが弱いことを表します。目的やテーマがないと、他人の目的やテーマが入り込んできます。そのため、定期的に仕事や取り組む課題が変わることが多いようです。
アスペクトのない月:月は気力をチャージし、定期的に放出する天体なので、この放出が状況と関係なしに訪れることもあり、唐突に盛り上がったり沈んだりします。この性質を早くから自覚した人は、人為的にその不足を補おうとして、つい過剰補正になりがちです。その場合は、周囲の人に対して過剰に気を使う人になります。
これらの要素が、彼の洗脳に影響したと思われます。
今回も、松村さんの本を参考にホロスコープを予想してみました。
このブログでは何回も引用していますが、引用するたびにその意味を考えさせられる深い内容です。
私にとってはハウスの予想に役立つ1冊となりました。
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