少し前にマツコ・デラックスさんのホロスコープを予想したときに、同じような女性指向の男性のホロスコープを比べたいと思ったのですが、そのときは参照しませんでした。
女性指向の男性といっても、スタイルはそれぞれ異なるようで、ひとまとめには出来ないようです。
ですが、今回は性同一性障害を公表している中村中さんのホロスコープをみて、マツコ・デラックスさんとの類似性・違いを見ていこうと思います。
中村さんについてはネット上に出生時刻があがっていますので、予想ではなく確定のハウスになります。
彼女(と今回は中村さんを呼びます)を取り上げようと思ったきっかけは、今日行ったお店にこの曲が流れていたからです。
これは恋愛が思い通りに成就しない様を歌ったものと思われます。
私は同性に興味がありません。男嫌いの傾向が強い男性です。
でもこれを聴いていて、彼女の気持ちはわかりました。ある意味で共感しました。
なぜかというと、私も彼女と同じ「第8ハウスの土星」をもっているからです。
第8ハウスの土星:感情交流の回路が狭く閉じられていて、決まりきった自分流の関わり方を他人に押しつけるので、なかなか心が見えてこない。性的な面では、禁欲的か感情の交流のない形になりやすい。本当は冷たくない人でも、冷たくみせることに努力しているふしがある。
これをもっている人は、他人からみると取り付く島もない、近づきがたいタイプに見えるようです。
ただ、当人からすれば自分と世界の間にガラス板があるような感じで、交流の手段が奪われた状態なんです。
人間だから、やりたいことは大体みんな同じ。
でも感情交流の方法がないと、人生の楽しみの多くがスコーンと抜け落ちます。
この世に生まれて、自分に覆われたガラス板をたたきながら、
「あれ?姿は見えるのに何も出来ないや、おかしいな…」といつまでも戸惑っている。
そうしているうちに本当に恋をしたかった時期は流れていき、「あきらめ」を覚えます。
それが『友達の詩』に歌われている世界です。
手を繋ぐくらいでいい
並んで歩くくらいでいい
それすら危ういから
大切な人が見えていれば上出来
この詩を本当に理解するのは、第8ハウスの土星をもった人。
『友達の詩』のせつなさは、性同一障害うんぬんよりも第8ハウスの土星からきています。
ただ、これだけではすべてを説明できません。
まず彼女が女性を指向した原因です。元素表を見てみましょう。
このように女性サインが圧倒的に多い人です。
特に活動に大きくかかわる天体(太陽・火星・水星)が蟹座ということで、母性の強い人ともいえます。
ただ松岡修造さんの例もありますから、女性サインの多さは必ずしも女性指向にはつながりません。
しかし人間性の土台としては女性的といえそうです。
もう一度中村さんのホロスコープをみてみます。
こちらはマツコ・デラックスさんのホロスコープ(私の予想)です。
共通点は7ハウスの月です。「個人的な部分を、社会的にむき出しにする」というやつです。
そしてもう一つの共通点が、月と土星の合です。
マツコさんの合が非常にタイトであったのに対し、中村さんの合は7度35分の誤差があります。月のオーブは通例8度なので一応範囲内という程度です。
ただ、土星以遠の天体が月とアスペクトをとっていないため、中村さんの月ではこれが最高位のアスペクトとなります(アスペクトはより遠い天体が力を握る)。
母性と配偶者の象徴である月と父性の象徴である土星が近づいたとき、同性への偏愛が生まれるのではないか、というのが私の推理でした。
月と土星の合に基本的にはそういう意味はありません。
しかしマツコさんの中で変換スイッチを担った天体があり、それは11ハウスの天王星だといいました。
中村さんには11ハウスの天王星はありません。
彼女にとっての変換スイッチとなったのは、1ハウスのドラゴンヘッドと2ハウスの金星の合だと思います。
ドラゴンヘッドの意味を考えても良いのですが、私はこのホロスコープをみているうちに、カラクリは案外単純なんじゃないかと思ったので、それを説明します。
第1ハウスにある感受点はその人にとっての「アイデンティティー」になります。
もしそこに太陽があれば、「俺は太陽だぁ~」といって、猪突猛進する人生になる。
もしそこに金星があれば、「私は金星よぉ~」といって、絵になるキャラクターを演じる人生になる。
もしそこに海王星があれば、「ボクってなんだろう?」といって、漂うように生きる人生になる。
中村さんの1ハウスに天体はありませんでした。
でもそこに、感受点はあった。
そしてそれが、男にとって女性の象徴である「金星」と合だった。
中村さんがオギャ~とこの世に生を受けたとき、「アレッ?、ボクって女性なの?」と勘違いしたんです。
それがこのホロスコープから読み取られる「性同一性障害」です。
ここの部分を拡大した図です。
もし金星が1ハウスにあったなら、中村さんはああならなかったかもしれない。
1ハウスに天体が空室で、ギリギリ1ハウスのドラゴンヘッドとギリギリ2ハウスの金星が合だった。
第2ハウスの金星:魅力的な才能や資質が経済的豊かさを呼ぶ。アートに対するよいセンスを持つ。男性の場合、女性の美や官能に執着が強いが、モノのように扱う傾向がある。趣味がそのまま仕事になる。自分の審美眼や趣味から離れてものを考えるのが難しい。
2ハウスの金星が孤立していれば、それは単なるキャラクターだったでしょう。
1ハウスの感受点と合だったから、2ハウス金星の性質が彼女の「アイデンティティー」のなかに流れ込んできた。
1ハウスの感受点(ドラゴンヘッド)がアイデンティティーになる程に強固な存在ではなかった、という所がポイントです。
『友達の詩』の映像を見ていると、中村さんは女性の美や官能に対する意識が強いと感じました。それはマツコ・デラックスさんとの資質的な違いであり、ホロスコープの違いにも表れています。
中村さんの場合は、ドラゴンヘッドと金星の合が変換スイッチのようになって、「月と土星の合」が同性愛的な方向に機能したと考えられます。
さて、近年女性指向の男性が増えていますが、彼ら(彼女ら?)をみていると、楽しくやっている人が多いようです。
中村さんのように辛酸をなめてきた人はむしろ少ないかもしれない。
彼女がつらい経験をした原因は、ひとつには「8ハウスの土星」です。
でももう一つ大きな原因がありました。それがこのアスペクトです。
金星と土星のオポジション:愛情面においては厳しい体験を好む自虐的な人も多いようです。このアスペクトは基本的にちょっと意地悪かもしれません。
これが非常にタイトに利いています。
笑われて馬鹿にされて
それでも憎めないなんて
自分だけ責めるなんて
いつまでも 情けないね
報われない恋だったかもしれないけれど、文字通り全身全霊をかけた生きざまを歌にしたとき、多くの人のこころの傷を癒やすことになった。
私も癒やされました。
中村さん、ありがとうございました。
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